時差ボケ

 日本時間の午前8時。サンフランシスコでは、前日の午後3時。パリでは、午前0時。地球上では、さまざまな時間が同時に存在して人々が暮らしている。
 そして、交通機関の発達は、異なる時間への移動を、より速(すみ)やかなものとしてきた。
 そこで生じたのが、時差ボケという現象。異なる時間の行き来に適応するのに時間がかかるという、この奇妙な現象には、東回りと西回りで、違いがあることをご存じだろうか。
 東へ行こうが、西へ行こうが、時間のズレ方は同じだから、現地への適応も同じ時間がかかるとは思うものの、実は、西回りの方が適応しやすいのだという。
 つまり、東京からサンフランシスコへ行くときよりも、サンフランシスコから東京へ行く方が、時差ボケの解消が早いというのだ。これは、東京が自分の土地であることとは関係なく、人間の生体リズムが25時間周期で、1日24時間より長いため、時間が遅れる分には修正しやすいことが原因だという。
 人間の生物時計が25時間周期ということは、放っておけば、自然な目覚めは1日1時間ずつ遅れていくことになる。毎朝決まった時間に起きていれば、眠いのが当然なのだ。
 1日の生活リズムを進めるよりも遅らせるほうが楽なのは、実感としてわかるように、時差ボケの場合も、眠るときと起きるときのリズムの、日常と現地の矛盾を、遅らせることで解消する西回りが楽ということになる。
 ところで、人間の固有のリズム、生物時間が何故25時間なのかは、わかっていない。一説では、月の出の周期が25時間だからというが、何故日の出の周期ではないのかが不明。
 時間と天体と人間と、まだまだ、わからないことは限りない。



... TO BE CONTINUED